能登半島の奥地までジェラート食いに行った話(前編)

 

 

 事の発端は7月の終わり、マルガージェラートの紹介をしてバズったツイートを見たことだった。調べてみると富山市からはジャスト100キロ(最短距離で)。過去に日帰りで176キロをママチャリで駆け抜けた事のある俺にとっては200キロの大台に乗るいい目標であると考えた。

 

「よし、夏休み中に1日かけて行ってみよう」

 

こうして夏休み中にマルガージェラートに行くことが決定した

 

 

 そして1ヶ月後、特に予定のない8月26日月曜日、本当は朝6時に出発する予定だったが寝坊して結局8時に出発した。この2時間の予定の遅れのせいでこの後散々な目にあうということをこの時は知る由もなかった…

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まずスタート地点は富大の正門前。俺の旅は大体ここから始める。格好は背中に「旅に出ます。探さないでください」と書かれたネタTシャツと短パン。長距離ママチャリ旅用のガチ装備だ。

 

 天候は晴れ、降水確率もゼロ、気温もいい感じ。最高のスタートであった。順調に走っていたが信号運だけは最悪だったようで通過する信号はことごとく赤。はっ倒すぞゴルァ。赤信号に中指立てまくりながらチャリを漕ぎまくること1時間半、雨晴海岸に到着

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空は青く澄み渡り、雲もいい感じで実に夏らしく、おまけに海も澄んでいて海に入ったら気持ちいいだろうなぁと思いながらわずか10分たらずで立ち去る。そしてここから怒涛のファンファーレ無限ループ垂れ流ししながらチャリを飛ばす

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理由としては雨晴海岸を含めたこの辺りはアニメ版「君の膵臓をたべたい」の聖地であるから(ファンファーレはキミスイのOPで使用。めっちゃ好き)。ここに来ると景色がいいのも相まってテンション上がるわ泣きそうになるわでとりあえず最高。

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きっちり聖地巡礼その2。実にいい景色だ。ここから海沿いのサイクリングロードをファンファーレ聴きながらノリノリで爆走した。晴れた夏の日に海沿いを走るのはマジで最高。めちゃくちゃ爽快で気持ちいい。

 

 そうこうしてるうちに氷見市に入り、県境を目指しさらに海沿いをずっと走る。そして雨晴出発から1時間後

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 県境に到着。この後すぐに山登りが待っているので堤防の上でパンや飲み物飲みながら少し休憩した。この時下見たらめちゃくちゃ海の水が透明で綺麗だった。

 

 飲み食いし終わってチャリにまた乗り、行きの道最大の難関:山登りにいよいよ挑戦である。ルートはこんな感じ

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 海沿いをまたしばらく走り、山道の入り口に向かう。この間少しスピード抑えて体力を温存した。そして山道の入り口が見えた

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いよいよ山登り開始である。最初は「あれ?こんなに楽だったっけ?」などと余裕ぶっこいてたが途中から一気に坂がきつくなり、とてもじゃないがチャリから降りて押さなければならなくなった。あの坂はマジで死ぬほどキツかった…もうあの道二度と通らねえ…。そんなこんなで何とか山を乗り越え頂上までたどり着いた

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 見渡す限り森。電波が全く入らずTwitterもまともに出来ないので、水分補給したら速攻で山下り開始。山登りの時はあれだけ「もう二度と山登りなんてやるもんか…」とか考えていたが、山下りの時の俺の脳内を占めていた感情は「快感」であった。

「キェェェェェ‼︎ヒィィィィィハァァァァァァァァァァーーーーーーーッ‼︎‼︎」

基本ブレーキをかけず、位置エネルギーを全部運動エネルギーに変換し、その超スピードに身を任せ、誰もいないし迷惑にもならないので全力で奇声を発しながら坂道を下る。最高に爽快であり、必死に山登ってきた苦労が全部吹っ飛ぶほどの快感であった。この時は「これだから山登りはやめられねえぜ‼︎」などと30分前とは全く正反対のことを思っていた。

 

 山下りで得たスピードに身を任せ、そのまま七尾市街に突入し、そこで一旦昼飯を食べることにした

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昼飯は空いていたのでモスで食べた。肉の旨さが体に染みて最高だったが、塩分が足りないせいでポテトは今ひとつ物足りない味だった。ケチャップあったらよかったなあ

 

 昼飯を食べ、近くのドラッグストアでエネルギー源と水分を買い、目的地であるマルガージェラートに向けてまた出発した。

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今年のGWの時に行った能登島を通過する最短ルートで行った。モスバーガーから出発して少し経ち、能登島大橋の近くまで来た

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能登島大橋を渡り、数ヶ月ぶりの能登島に上陸

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今回の目的は能登島にはないので速攻で能登島を後にする

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 能登島を後にし、10キロほど漕いで、駅があったのでその駅でトイレ休憩も兼ねて休憩をとった。

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俺が休憩するために訪れたこの駅は何かのアニメの聖地?だったらしくなかなかいい雰囲気だった。ここでモバイルバッテリーでスマホを充電したり壁に貼り付けられていた能登半島の地図を見てルートを確認したりして休んだ

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メッセージボードがあったのでちゃっかり落書き笑

休憩が終わり、20キロ先の目的地を目指して出発。途中穴水町内を通ったんだが、あそこ実にいい雰囲気だったから今度また観光しに行きたい。

 流石に80キロ+山越えは足にかなりこたえたっぽく、10キロほど進んだだけでかなり疲れるようになった。さらにラスト10キロの中には山越えも含まれているため、残り10キロの地点で最後の休憩を取ることにした

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水分や塩分補給タブレットを食ったり飲んだりして体を出来るだけ万全な状態に戻した。そしていよいよ最後の山登り開始である。普通の体力MAX疲れもなしなら難なく超えられそうな坂であったが90キロ+山越えしてきた足にはかなりきつかった。でも何とか1回も降りずに無事登り切ることに成功

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頂上についたのであとは目的地まであとは降るだけ。やっとここまで来れたという達成感に身を任せまたまたノーブレーキで坂を降る。そしてついに

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マルガージェラートの看板を発見!目的地はもう目の前!そしてこの看板からちょっと進んで、目的地であるマルガージェラート本店を目視

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17時11分、出発から9時間、総距離106キロをママチャリで走破しマルガージェラートに到着‼︎やっと着いた〜‼︎長かった〜‼︎

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そんな長距離を漕いだ後に食ったジェラートは格別だった。あれほど美味いジェラートは今まで食ったことがないってレベルだった。もうひたすらに美味いの一言に尽きた。

 ジェラートを食いながら休憩して、帰りのルートも調べ、18時くらいにマルガージェラートをあとにした。1時間ほどたっぷり休憩したし、美味いジェラート食ったからか帰りはつい1時間半前ヒーヒー言ってた山を難なく越えることができた。しかし、足へのダメージは少なくなく、山を降ったあとさっきと同じところで休憩せざるを得なかった

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そこで沈みゆく夕日を見て、これは夜に山越えることになるかなと覚悟した。もし朝2時間早く出ていればこの時点でまだ4時半。山越える時にちょうど日が沈む計算であった。完全に失敗した(そもそも何で寝坊したのに朝の8時にいこうと思った)。まあ、今あーだこーだ考えても仕方がないので少し休憩してその後出発した。

 

 ここからが問題であった。足の体力はそこまで限界というわけではない。足のダメージもやばいレベルではない。なのになぜかチャリが重い。時速10キロほどしか出せなかった。とりあえずそんなわりとボロボロの状態だったが根性で20キロ走り、西岸駅にたどり着いた。ここで休憩して出発しようかと思ったが、夜に山越えるのはなんか危険な気がしてきた。さらにこの西岸駅、駅にあるベンチにフカフカの座布団がひかれていた

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俺は思った

 

「これ、ここで寝れんじゃね?」

 

さっきまでの足の調子や今が夜という事実などを踏まえるとここで仮眠して朝日が昇る頃に山越えした方がいい気がしてきた。というわけで人生で初めて駅に泊まることにした

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ベンチに横になり、持ってきていたタオルを腹や足にかけて20時半ごろ、就寝。8月ということもあってかなり暖かく、タオルだけでも十分気持ちよく寝れた。そして午前2時半、起床。寝るときは駅の電気が付いていたがその頃にはもう電気が切れてて真っ暗であった。スマホの明かりを頼りに持ってきてたお菓子やらを食べてエネルギー補給。その後ストレッチをして足のダメージチェック。6時間も寝たからかコンディションはかなりよく、ダメージも疲れもほとんど回復していた。

そして午前3時ごろ、西岸駅を出発

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周りに明かりがないせいかこの時見た星空は過去最高クラスに綺麗だった。さーて!足の調子はなかなかいいし、部活のある10時前には富山に帰るかー!そう思いながらチャリを持ち上げて向きを変えた。地面にチャリをドン!と置いた瞬間

 

「プニ」

 

後輪の異変に気付いた。

「…プニ…?」

まさかと思った。

「とりあえずこれは気のせいかもしれないから後輪の状態を直接触って確かめてみるか。どれどれ…」

 

「プニプニ」

 

あ、これ完全にパンクしてるわ

 

 

[次回予告]

やめて!こんなところでパンクしたら富山に帰れなくなっちゃう!

お願い、死なないでちばチャリ!

あんたが今ここでパンクしたら、これからどうやって富山まで帰ればいいの?

時間はまだ残ってる。何か方法を考えれば、一緒に富山に帰れるんだから!

 

次回「ちばチャリ 死す」 デュエルスタンバイ!